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世界にひとつ!自分で作る傘 【傘屋さんから学ぶ 古河の手しごと】

こがキラphotoクラブ5期生のカリーです。今回は、古河市民大学「傘講座〜オリジナル日傘を作って猛暑を乗り切ろう〜 」のレポートです。

全国でも希少な傘の製造・販売店

会場は、古河市古河にある『古谷洋傘店』さん。今では全国でも珍しい布地の裁断から部品の取付けまでの製造から販売を行っているお店です。

古谷洋傘店外観写真

お店は家族で経営をされており、講座の当日は遠方から娘さんやお孫さんも応援に来て、傘の歴史の説明、傘づくりのお手伝いなど大賑わいです。

 

古谷さんの傘は手作りなので、丈夫で長持ちなのはもちろんのこと、修理も可能で、永く愛用される方がいらっしゃいます。

古河の傘の歴史

戦前、古河は番傘の産地だったこともあり、終戦後に古谷さんの祖父にあたる古谷三四郎さんが洋傘の生産を始めました。

古谷洋傘店で作られた傘を日傘にして活用している

市内には傘の製造組合が作られ、たくさんの傘が作られました。古谷洋傘店さんでも多い時には月15,000本製造されていたそうです。

 

茨城県のYouTubeチャンネル「なつかし・いばらき」で
↓当時のニュースが見られます↓

高い品質やデザイン性があり、素材や機能も優れていて、日本国内だけでなく、アメリカ、フランス、イタリアにも輸出されていたそうです。

 

現在、製造から販売までを行っているのは、市内では古谷洋傘店さんだけになりました。

傘の魅力をイベントで再発見、古河ブランド「こがのかさ」、将棋名人にも

古河の傘で生まれる天の川 〜七夕のアンブレラスカイ〜  イベント写真

【写真はイベントの様子】

昨年、円満寺さん(小堤)で市内で初めて古河の傘の魅力を伝えるイベント「古河の傘で生まれる天の川 〜七夕のアンブレラスカイ〜 」が行われました。

辺りが暗くなると古谷さんの傘がライトアップされるなど、多くの来場者が楽しんでいました。

 

会場では当日限定の古河の花をプリントアウトした傘の販売されたり、お寺の入口にある門の両側には和傘が彩り、イベント用に作られた櫓(やぐら)には色とりどりのビニール傘も飾られました。

 

歴史ある建物の色と華やかな傘のコントラストは見事で、境内が鮮やかに彩られていました。

 

古谷さんが手がける雪華模様(※)の傘は、古河ブランド「こがのかさ」として販売されており、「お休み処 坂長」で購入が出来たり、ふるさと納税の返礼品にもなっています。

(※)雪華模様は、古河藩主 土井利位(どいとしつら)が日本で初めて雪の結晶について研究をまとめた「雪華図説」が由来です。


古河市内では小中学校の校章をはじめ様々な場所で見ることができます。

古谷さんが手がける雪華模様 

古谷さんが手がける雪華模様2

古谷さんが手がける雪華模様3

 

今年5月に行われた将棋の名人戦では、藤井聡太名人と永瀬拓矢九段にも古谷さんの傘がプレゼントされました。

古谷さんから教わる傘講座

それではいよいよ講座のレポートです。講座は傘布から選ぶ世界で一つのオリジナル日傘(雨傘兼用)が作れるとあって、応募が多数あったなか、抽選で選ばれた15名が参加しました。

 

講座は古谷さんの説明で、洋傘の歴史や傘づくりの工程についての座学、工場の見学、実際の傘づくりを体験する講座が開催されました。(全2回、各約2時間)

<傘づくりの工程>※☆は、参加者が体験

① 半裂き(はんざき)

生地を半分に裂く

 

② 縁掛け(ふちかけ)

傘の幅に切った生地の両端がほつれないように、本縫いミシンで縫う

 

③ 検査

生地に穴やほつれがないか、布を広げ、光を当てて確認する

 

④ 裁断(さいだん)

傘によって大きさや形の異なる型に当て切る。またデザインによって枚数も異なります

傘の制作に使用する型

 

⑤☆裁断された生地を選ぶ 

製造・販売を行っている古谷洋傘店さんだからこそできる講座ならではの貴重な体験。様々な色や素材の異なる生地の中から8枚を選びます。組み合わせは自分次第。

傘の生地選び

体験者のコメント:「沢山ある生地の中から8枚を選ぶのはとても迷いましたが、自分の好きなものにしました。」

 

 

⑥ 中縫い(なかぬい)

裁断した生地を1枚ずつ縫い合わせ

傘に使う生地を決めたら中縫いする

生地は斜めに切るので、職人の技術が必要です。

古谷さんが素早く中縫いする姿に講座の参加者は一様に感心したり、写真を撮ったりしていました。

 

⑦☆骨組みに生地を縫い付け

細い骨に小さい当て布をしながら縫い付けます

傘作りに取り組むイベント参加者たち

 

⑧ ☆露先(つゆさき)を生地に縫い付ける 
傘の骨の先端にある小さな金具”露先”をつけていきます。とても細かい作業に会場のあちらこちらで「難しい〜」と声が聞こえてきます。

   ● ← 陣笠(頂上)
   /\
  /  \ ← 傘布
  │   │
○────○ ← 骨の先端にあるのが”露先”

露先を生地に縫い付ける作業

 

⑨ 頭かがり(あたまかがり) 

傘の先端部分をかがって補強

 

⑩ ネーム付け

ネーム付け

 

⑪ 菊座(きくざ)付け 

傘を開いたときに放射状に広がる丸い座金を取り付ける
傘が開閉できるようになり、傘作りもいよいよ大詰め!

 

⑫ 陣笠(じんがさ)を付ける 

傘の一番上の部分を飾る部品を取り付ける

 

⑬ 手元(てもと)を付ける 

柄の部分(持ち手)を取り付け、ついに完成!!!

 

出来上がったオリジナルの傘に皆さん大満足の様子。会場は笑顔にあふれます。

参加者の方の中には、いろいろな形や素材の傘を見ながら、洋服とのコーディネートやTPOをイメージされて、お店の傘を買い求める方もいらっしゃいました。

 

まとめ

古河市で傘が作られていたことは知っていましたが、今回講座に参加したことで傘の歴史だけでなく、傘の仕組みや作り方など詳しく学ぶことが出来ました。

 

講座前は、
傘=雨をしのぐもの=道具
という印象で、傘の本数は、収納・管理の面で少ない方が良いと思っていました。

 

でも、お店で沢山の種類の傘を見たり、聞いたりしているうちに、、、
傘=洋服やバックのように用途に合わせて使い分けるもの=ファッションアイテム
と意識が変わりました。

 

おわりに

ライターカリー:アイコンイラスト

夏の古河花火大会では、「こがのかさ」の花火が上がっていて、可愛らしかったですね。

古河の傘の伝統も守りながら、全国にそして世界に古河の傘が知られ、傘の新しい可能性が広がっていくことを願っています。

 

イラストは、今回の講師、古谷たか子さん。
ぜひみなさんも古河で作られたお気に入りの傘を1本、持ってみてはいかがでしょうか?

 

(ライター:カリー)
参考文献 古河市民大学傘講座資料より一部参照

 

<傘の製造・販売> 有限会社 古谷洋傘店
【住所】古河682-1【電話】0280-32-1615
*通常お店では講座の開催は行っていません。

 

<「こがのかさ」取扱店>お休み処 坂長
【住所】中央町3丁目1-39【電話】0280-22-2781

お休み処坂長 外観

  • 記事を書いたkoga.ライター
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カリー

カリー

こがキラphotoクラブ第5期生

古河歴7年。こがキラphotoクラブ第5期生。 読書・映画鑑賞・イラスト・スポーツ・料理など、多趣味です。 休日はカフェやランチに出かけたり、電車や車で神社や観光スポットを訪れたりしています。 海外での長期滞在で培った広い視野を活かし、古河の魅力をさらに発見していきたいです。

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