koga.noteライターのゆきらこです。
今回は、古河市から生まれる、人と人との温かさ、そして可能性を感じる場所を紹介させてください。
ここは都内のレストラン?
と思ってしまうほど、素敵なお店ができた!という噂を聞いて、さっそく取材に行ってきました。
今年の7月にオープンした『AJISAI HOUSE』さんは、すぐ側の”あじさい学園”さんが新しくOPENしたレストラン施設です。
大きな通りから古河市商工会議所前に向かって道を曲がると、50メートルほど進んだ右手に、お店と広い駐車場が見えるのですぐにわかると思います。
障がいのある人もない人も気軽に触れ合える場所を目指して
今回は、あじさい学園理事長の秋山さんからレストランの経緯をお聞きすることができました。
ここで紹介するレストランになった建物は、元々は、障がい者就労支援事業を行ってきた“あじさい学園”の本館でした。
昭和61年、ここ古河の地に誕生して以来、39年間、たくさんの利用者さんを支えてきた場所です。
あじさい学園が場所を移動してからも、この思い出の建物は記念に残して使えたらいいな、と考えた時、長年あじさい学園に通ってくださった障がいのある方にもゆったりと作業や余暇を楽しんでもらえる場所の必要性を秋山さんは感じたそうです。
施設自体もそうですが、知的障がいのある方と市民が接点をもつことが少ない、今までの運営ではどうしても外部との風通しがよいとはいえなかった側面に目を向け、市民が気軽に来れる場所にしたいという目標を持って、このレストランが誕生しました。
左/あじさい学園理事長 秋山さん 右/レストラン料理長ジュンさん
構想5年、音楽と飲食のプロに関わってもらうことで実現
そして、レストランの料理長としてこのお店を取り仕切ることになったのは、古河駅西口の元「CAFE LOUNGE BEEP」を経営されていた“ジュンさん”。
カフェのかたわら、音楽活動をしていたジュンさんは、以前よりあじさいのショップでランチを食べたり、バンド演奏をしたり、ゲームの話で盛り上がったり、調理の相談にのったり、多くの機会で利用者の方と触れ合いを持たれていました。
あじさい学園の理事長である秋山さんが、レストランを作りたいと思った時に、この方なら!とレストランの料理長にスカウトしたそうです。
施設利用者のみなさんと、そんな楽しい時間を共有した経験を持っていたジュンさん。
きっとみんなで一緒に楽しく働ける職場(レストラン)にできるはず!とわくわくして、料理長を引き受けられたそうです。
利用者さんが自分らしく働くためのサポートとは
ここAJISAI HOUSEでは接客から調理まで障がいのあるスタッフさんがたくさん関わっています。
一人一人の特性や適正に合わせた仕事を各自が力を合わせて担当して、ジュンさんやその他のスタッフさんが補助することでレストランという職場を作り上げています。
【作業として働くのではなく、一緒に働く】という形を大切にしていることで、楽しい職場が出来上がっていました。
お客様が記入するオーダー表
そういったことから、レストランのメニューのオーダーにも工夫がされていて、お客さんが自分の頼みたいメニューの用紙にペンを使い、チェック印を書き込むようになっています。
また星の数で金額の違いが示されていて、オーダーを取る時に一目瞭然でわかりやすいようにしています。
これは、オーダーを取りに来るスタッフさん自身が、注文をすぐに理解して、間違いが発生しないように、とのことからだそうです。
最近は電子機器でのオーダーばかりになっていっているからか、このやり方にはとても新鮮な印象を受けました。
注文する自分もなんだかほっとする仕組みでした。
障がいのあるスタッフさんは20代から60代まで16名。
ジュンさんによると、みんな、びっくりするくらいしっかりと楽しく働いてくれて、一人一人のやる気を感じているとのこと。
レストランで働いている障がい者さんの方が、お客さんが来ることに対して、ウェルカム感の意識がとても高いのだとか。
逆に、お客さんの方がなんとなく戸惑っているようなときには、ジュンさん自らが橋渡しとして間に立ち、クッションの役割をしたいとおっしゃっていたことが印象的でした。
音楽と美味しいご飯を通じて隔たりのない空間を目指す
店内に入ると正面にステージがあり、そこにはドラムやピアノなど、数々の演奏楽器機器類が揃っていて、なんと天井にはミラーボールまで光っています。
音響装置もライトもレストラン内で動作できるようになっており、コンサートやライブなどにもしっかり対応しています。
…というか、
そのために細かく計算、設計されたレストランといっても過言ではありません。
レストランの片隅にはPA設備も
ライブ演奏などをしたい方にとって、ここはヨダレが出るような設備で、素晴らしい空間になっていると思いました。
この設備と食事のできる空間を併せ持ったこの場所なら、結婚式の二次会にも活躍しそうです。
なぜ、ここまでこだわったのでしょうか?
それは、レストランで働く障害のあるスタッフさんとも、音楽を通じて、たくさんの感情や楽しさを共有できるのだということを、あじさい学園の理事長の秋山さんとジュンさん自身も経験済みだからです。
音楽には不思議な力があります。
音楽を通して一つになれるものだと思います。
大きく言えば、
国が違っても、言語が違っても、大人であっても、子供であっても。
ここで言うならば、スタッフの方とお客さんと、、、。
音楽は人と人の心を繋げることができる、素敵なツールなのではないでしょうか。
理事長の秋山さんは、一般の方と、レストランスタッフの垣根がなくなることがいちばんの理想だそうです。
使い道はいろいろ!みんなで集まれるスペースも
ちなみに、このレストランの建物には、いろいろな用途で利用できる部屋があります。
そこでは、ちょっとした会議や集まりや講座開催など、一般の地域の方にも気軽に利用してほしいそうです。
この日はこの部屋で利用者さんたちが作業をしていました。
例えば、ここで話し合いやお稽古ごとをして、終わったらみんなでレストランでランチ、なんていう活用も良いですよね。
入ってすぐにあるラウンジBAR
お洒落な空間でみんなで楽しむ新たな交流スペース
食事や音楽を通して、どんな人とでも、日常的に垣根をなくして交流できる、古河にこのような新しい視点でのコミュニテイが生まれる場所が誕生したことを、とても嬉しく思いました。
ラウンジBARもぜひ気軽に来てほしいとジュンさんは話します。
この日、ランチメニューのピザをいただきました。
ジュンさんプロデュースの本格イタリアンはランチとはいえ満足の行くメニューでデザートも絶品でした。
夜のコースではワインを片手に食するのも素敵ですね。
みなさんも、まずは、ぜひお食事に出かけてみてください。
そうそう!
ここのレストランを訪れた際に是非、目にしてもらいたいのが、レストランの外壁に施されたモザイクタイルアートです!
これは、障害のある方たちの絵が元になっています。建物の中廊下には原画も飾ってあります。
みんなのピースが合わさった、一つのアート作品です。
色使いがとても綺麗で、想いのこもった建物の外壁になっています。
〜終わりに〜
ここAJISAI HOUSEで食事をすると、障害がある、ないとか関係なく、スタッフの方一人ひとりがプロの意識を持って本当に丁寧に接客している姿に接することができます。
だから、美味しくいただけるし、居心地もいい。
そんなレストランになっているんだなと感じました。
みなさんもぜひ、気軽に入ってみてください!
(ライター:ゆきらこ)
AJISAI HOUSE
住所 / 茨城県古河市鴻巣1179 AJISAI HOUSE
電話 / 0280-33-8255
営業時間 / 火〜土
11:00-15:00(ラストオーダー/14:00)
15:00-16:00 ティータイム
金.土
18:00-22:30(ラストオーダー/22:00)
定休日 / 日曜日、月曜日(不定休)
※貸切営業やイベントの際、ご入店できない場合があります。
HP/ https://r.goope.jp/ajisaihouse/
facebook / https://www.facebook.com/ajisaihouse0403
Instagram / @ajis.ai2023
【あじさい学園の事業】
生活介護や就労移行支援・就労継続支援B型等の日中活動を利用している障がい者に対して、日常生活上の支援、介護、相談支援や日中活動に係る事業所等の関係機関との連絡調整を目的として必要な支援を提供し、障がい者が地域において自立した日常生活が送れるよう支援をする。
あじさい学園HP/https://kyoseisha.or.jp/free/zigyousyo
もし、働くことに悩んでいる方は、あじさい学園さんも相談できる窓口のひとつだそうです。