koga note.ライターのちゃんたけです!
3人の子育て真っ只中のパパライターです。
少し前の子ども新聞に「野木町の本屋が無くなった」という記事がありました。
この本屋さんも全国展開している書店チェーンでした。
大手さえも撤退という選択を取るほど「本屋さん」は難しい業種になっているようです。
暗い話題が前に出てしまうこの業界でも攻めの姿勢をみせる本屋さんがあります。
〜子どもたちみんなの、たまり場になってほしい〜
〜来てもらって、「楽しいよ!」っていうキッカケづくりを提案していきたい〜
関戸にあるセキグチ書店での取材時の言葉です。
地域に愛されて42年。
その根底にあるのは「地域のために何か出来ないか」という想いでした。
今年の7月から2代目として娘のセキグチ姉妹が父の後を継いでお店の運営を任されることになりました。
これからどんなことを仕掛けていくのか?
古河に住んで30年オーバーの私ちゃんたけも気になる
歴史ある書店さんの未来について伺いました。
■セキグチ書店さんの「ちょっとまえ」と「ちかごろ」の違いとは?
店頭にある本が売れにくくなったのは皆さんも何となくご存知かと思います。
大型店舗の台頭
⇓
インターネット販売の普及
⇓
デジタル書籍
多様な販売方法が生まれ、情報化が急速に発達し、個人の多様性も増しました。
マンガは積んでいれば売れていった【ちょっとまえ】。
YouTubeの登場でスポーツなどのテクニック本は置いても売れない【ちかごろ】。
文具を売るのも、【ちかごろ】の若い子の趣向が読みづらく、売るのが難しくなりました。
例えば「文具といえば、女の子がこだわるもの」というイメージをもっている方も多いのではないかと思います。
でもそれは【ちょっとまえ】までの話。
【ちかごろ】は「こだわり男子」が主流なんだとか。
シャーペンひとつをとっても、尖り続けるものだったり、木軸のタイプだったり…。
なるほど。
言われてみれば我が家の愚息もシャーペンを買うのに30分くらい悩んで買っていました。
(ちなみに宇宙の好きな彼は星々がデザインされたものを購入しました。)
逆に女の子の文具事情はシンプルなものを好む傾向にあるようです。
いわゆる、普通の文具。事務用品的なイメージでしょうか。
そして【ちかごろ】の女の子にとって文具は、わざわざ本屋さんや文具店に行って買うものでは無くなり、100円ショップやホームセンター、ドラッグストアなどに置いてあるもので十分な「ついで買い」になっているのではないかと想像されます。
大型店やアマゾンなどのネット販売といった「大きな力」の競合がいる世界では小さなお店は、真正面から戦っても渡り合うのは難しい時代になりました。
経営者は試行錯誤で営業を続けていますが、中にはお店を閉めるという選択をとるお店も少なくありません。
■受け身にならない本屋さんはずっと昔から仕掛けていた
私自身もインスタグラムなどのSNSは頻繁に使っていますが、セキグチ書店さんの投稿もよく見かけていました。
(セキグチ書店さんのインスタグラムより抜粋)
私の印象としては「いつも何かやってんなぁー」と思えるくらい、毎週末ほとんどイベントを行っています。
・はぴ育マルシェ
・開運マルシェ
・福祉ネイル体験
・読み聞かせ
・保護猫譲渡
・ワークショップ
・農園さんとコラボレーション
などなど。
「なんとかして子どもたちに本を読んでもらいたい」
そう答えて頂いたのは、前社長であり父の関口 林さんでした。
過去には入り口の自動ドアいっぱいに漫画・アニメのキャラクターを描いて貼ってみたり、
キャラクターの着ぐるみを着て販促を行ったり。
(数十年前の入り口の写真です。模造紙4枚分で作成。一見、簡単に見えますが大変な大作です。近くで書き続けることが出来ないので、書いては離れて、書いては離れて…の繰り返し。)
セキグチ書店さんはただ本を置いて売る受け身の販売はせず、つねに集客を意識したアクションをしていました。
そのようなコツコツ積み上げてきた経験が現在のマーケティングにも活きています。
「急に動くことは大変だけど、時間をかけてコツコツと続けているとそれが普通になるんですよね。」
言葉にすればとてもシンプルですが、お店の長い歴史がその重みと深みをもたせます。
先に紹介したイベントは、店内での販促イベントにとどまらず、駐車場を活用した店外イベントも行っています。
店内外のイベントを定期的に開催することで自然と人が集まり、そこに本があるという状況を作っています。
「理想は、【本を通じて、学びのあるたまり場】にしたいんです。
ここに来てみて、自分で触ってみて、読んでみてほしいな、って思っています。」
スタッフのみなさんが考えるセキグチ書店の未来像です。
つないできたものを、次は私たち姉妹がつないでいく。
こんなエピソードも頂きました。
地元を離れたお客様が、久しぶりに帰省された時のこと。
「わぁ、懐かしい〜!ママが小さい頃よく来たお店なんだよー」
小さなお子様を連れたお母さんとお子さんの会話です。
お客様は意図せず口から出た会話ですが、
運営する社長や娘の姉妹からすると「お店やってて良かった…!!」と感じるほっこりした瞬間です。
きっとそのお母さんもお友達と本を見たり、文具を探したりした思い出が、入り口を入った瞬間にフワっと押し寄せてきたんだと思います。
お店がそこにあることで感じる「安心感」。
字のごとく、「心安らぐ」場所にはたくさんの思い出があります。
その子どもに引き継がれて「ここに来ればみんながいて、楽しめる」という想いに繋がっていってほしい。
長く続いているからこそ、つなげていく。
そのためにやりたい構想はたくさんあるんです。
そんな話を熱く、ニコニコしながらセキグチ姉妹は語ってくれました。
聞いていてワクワクする想いを打ち出していく、攻めの本屋さん。
そんな温かで前向きな本屋さんが近くにあるっていいなぁ、と思った取材でした。
(取材:ちゃんたけ)
セキグチ書店
〒306−0205
古河市関戸1205−1
営業時間 9:00〜19:00
定休日 第2.3日曜日
電話 0280-98-0811
HP:https://sekiguchishoten.jimdofree.com/
instagram:@sekisyo0811