みなさん、こんにちは!
逗子生まれ逗子育ち。
古河の歴史研究などをしているkoga.ライターの山田です。
「えんまんマルシェ」や「アンブレラスカイ」などで脚光を浴びる
小堤の【円満寺(えんまんじ)】さん。
アンブレラスカイ風景
正式名称は「真言宗豊山派 寶林山 地蔵院 円満寺」といい
世界遺産「高野山」を開山した、弘法大師空海が809年に開いたと伝わる1200年以上続く古刹です。
※高野山
https://www.knt.co.jp/travelguide/kokunai/085/
※空海
https://www.touken-world.jp/history/history-important-word/kuukai/
地蔵院というお名前の通り、御本尊はお地蔵様(延命地蔵尊)になります。
ただのお地蔵様ではないんだゾ!
左足に注目だ!!(後半へ続く。。。)
ということで、今回は円満寺さんのヒストリカルなすごいところを語りたいと思います!!
【その① 寺宝・「三鈷杵」「五鈷鈴」がすげえ!】
弘法大師・空海がこの地に持ってきたと伝わる
金銅三鈷杵(こんどうさんこしょ)と金銅五鈷鈴(こんどうごこれい)。
両方とも茨城県指定文化財に指定されています。
唐(618年 – 907年)時代の作風をよく残し、武器の様なトゲトゲがあるのが特徴の国内でも有数の密教法具です。すごい!!
正直、国重要文化財に指定されてしかるべきものだと思います。
これほどの逸品も珍しいので2024年に奈良国立博物館の「空海展」に出品されています。
※密教法具とは?ー密教の儀式や修法で使用される仏具の総称です。
・茨城県指定文化財 三鈷杵 https://kyoiku.pref.ibaraki.jp/bunkazai/ken-500/
・茨城県指定文化財 五鈷鈴 https://kyoiku.pref.ibaraki.jp/bunkazai/ken-499/
天空戦記シュラトの武器として1980年生まれの心の琴線に触れます。ノウマクサンマンダボダナン!オンシュラソワカ!
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【その② 埋納銭が出た城跡ってのがすげえ!】
円満寺一帯は「小堤城(こづつみじょう)」と呼ばれる中世の城跡でした。
古河公方・足利成氏(1434-1497)の家臣
諏訪三河守頼方(すわ みかわのかみ よりかた)が城将であったと伝わりますが
方形型の堀や土塁が現在も良い保存状態できれいに残っています。
小堤城
出典:余湖くんのお城ページ(余湖浩一先生)
http://yogoazusa.my.coocan.jp/ibaraki/souwa.htm#kodutumi
小堤城は昭和56年に4087枚もの一括埋納銭が出土したことでも有名!!
https://www.facebook.com/share/p/18e62LsXnz/
お休み処坂長さんや小堤の古民家再生協会さん(山中建設工業様)では「まくらがDMC」さんが出版している小堤城御城印も販売しています。
指定文化財の写真なども掲載されているので是非!
小堤御城印
https://www.kominka-ibaraki.com/blog/55447.html?fbclid=IwY2xjawIVHDpleHRuA2FlbQIxMAABHenRdqR-PSTJSln7S9ALaphWlZqew_QLW0M-xDXkTZsrzjlNKf0hK2Miww_aem_jh6ffhhc50KY8qmejtHZtA
・古河市指定文化財 小堤城跡出土古銭一括 古河市の紹介HPは無いようです。
【その③山門がすげえ!】
1550年頃に建立されたと伝わる山門
木割(柱などの材料の大きさ)がぶっとく、組木も質素で室町時代の作風をよく伝えています。
まさしく城門!!!
中世様式の建造物があらかた取り壊されている古河市において、かなり貴重な門といえるでしょう。
乳鋲(ちびょう)というカンヌキがある城門特有の鋲が使われているのも円満寺山門のすごさを語る上で外せません。
乳房のような形をしているのが特徴の円満寺さんの山門大扉
【その④諏訪さんがすげえ!】
小堤城の城主が諏訪三河守頼方だと前述しましたが、この諏訪氏の古河に与えた影響がすごいんです。
古河藩の地誌「古河志」によると足利成氏に従って信濃国(現在の長野県)諏訪から古河に来た諏訪氏が住んだ場所が「諏訪」と呼ばれることに。
古河歴史博物館や古河保育園のあるこんもりした、地元通称「出城山」一帯です。
出典:「古河町略図」(1938)に加筆
小字としての「諏訪町」は残念ながら自治会名としても残っていませんが、ほかにも諏訪の地名の名残が見られるポイントがあります。
1.古河城出城諏訪郭…諏訪三河守が住んだと伝わる場所が「諏訪」と呼ばれることに。現在の古河歴史博物館・出城界隈です。
2.諏訪八幡神社…駅西口にある諏訪八幡神社。
古河公方・足利成氏が鎌倉の鶴岡八幡宮を古河に持ってきたとされる八幡様。もともと諏訪三河守の住んだ「諏訪」の地にあった為に諏訪八幡神社と呼ばれることに。
江戸時代に北新町に移転されても諏訪の名前は残り続けています。
古河七福神でもおなじみですね!
諏訪さんすごいですね!
小堤地区に多い諏訪さんのルーツが諏訪三河守にある可能性が高いので、諏訪さんは周りに自慢しよう!
【その⑤寺宝・両界曼荼羅がすげえ!】
茨城県指定文化財の大曼荼羅
足利成氏の家臣・諏訪三河守が娘の病が治るようにと奉納した
「絹本著色両界曼荼羅(けんぽんちゃくしょくりょうかいまんだら)」が現存しています。
※曼荼羅とは https://www.touken-world.jp/history/history-important-word/mandara/
今回は円満寺副住職の星野さんから特別に本物を見せて頂きました!すげえ!
成氏との主従関係から考えると15世紀後半に作られたのかも?
・茨城県指定文化財 絹本著色 両界曼荼羅 https://kyoiku.pref.ibaraki.jp/bunkazai/ken-167/
親が子を想う心はいつの時代も同じ。
江戸時代に造られた諏訪氏の娘のお墓も現存しており、没年が大永6年(1526年)となっている事からも、快癒して天寿を全うできたのかな?
【その⑥イチョウの木がすげえ!】
乳根の大イチョウ
山門の隣には乳根(ちちね)の大イチョウを見る事ができます。
乳が垂れてくるまで400年以上は掛かりますので、想像を絶する古木です。
さらに個体差が大きく樹齢が何百年あろうとも乳が出てこないイチョウの木もあります。
乳根はよく乳が出るように・乳児が健康に育つように、と信仰の対象になると同時に、この樹齢まで樹木が残る事がまれなので非常に珍しいです。
※近場では野木町・野木神社さんのイチョウの乳根が有名ですね。
https://www.town.nogi.lg.jp/kankou/rekishi_bunka/page000380.html#a2
【まとめ】
円満寺全体図
円満寺は、曼荼羅といいイチョウといい、親と子にまつわる温かいエピソードが絶えないお寺です。
このお寺にまつわるものだけで、県指定文化財3点(三鈷杵と五鈷鈴と両界曼荼羅)と市指定文化財1点(一括埋納銭)が登録されています。
円満寺の住職さんが大事に1200年以上守り通してきたという偉業に驚くとともに、地域ぐるみでお寺を守ってきたことが分かります。
イベントにご理解のある楽しいお寺という入り口の向こうには、これほどの見るべき、そして大事にすべき地域のお心が詰まっていることを再認識して頂けると嬉しいです。
本堂にある御本尊様(延命地蔵尊)
そして御本尊のお地蔵様(延命地蔵尊)は半跏(はんか)という片足を組んで左足を下に踏み下げて座るスタイル。
個人的には無理な恰好をしていないから、好きな仏像のカタチのひとつ。
最初にも書いたけど、左足に注目だ!!
今回、歴史上の人物についての尊称(上人や公)は省略させて頂きました。
(ライター :山田直弘)
【円満寺(小堤城跡)】
〒306-0231 茨城県古河市小堤1405
電話番号: 0280-98-3710
https://enmanji-koga.jp/
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