一口食べれば古河の懐かしい風景が思い浮かび、
二口食べれば悠久の歴史が感じられる。
そんなお豆腐を日々作り続けているお豆腐屋さんが古河にはあります。
それもそのはず、アメリカで言えば南北戦争&リンカーン大統領、日本で言えば、桜田門外の変&生麦事件の頃、遥か昔の文久元年(1861年)から、古河公方様のお城にお豆腐を納めてこられた由緒あるお豆腐屋さんなのです。
そんな歴史ある豆腐店「若木屋」さんをご紹介します。
■味を守り続けることでファンを虜にするご夫婦
ご夫婦二人三脚、真摯に作業場に立たれる若木屋さんご夫婦は、ネットでの宣伝は全くされず、口コミ投稿もない状況で、若木屋さんのお豆腐でなくてはとおっしゃるお客様のため、当時のレシピ通りにお豆腐を作り続けています。
澄み切った水に浮かぶお豆腐たち、それをすくい上げるご主人の手からは、お豆腐作りに人生をかけてきた、深い年輪を感じてしまいます。
そして、そんなご主人を温かく見守られながら、揚げ物作りを担当されている奥様。
なんとも微笑ましいご夫婦のお姿です。
一方で、ご主人の指には時に、酸素濃度をはかるパルスオキシメーターが。
そして奥様も足の調子を見ながら。お二人とも無理のないようにお仕事をされています。
体調不良でお店をお休みされる日もありながら、お客様からのご要望を受け入れて、お豆腐や厚揚げ、油揚げを作るご夫妻の真摯な対応。
その上、少しでも出来上がりに納得のいかないものは、売りたくないと話します。
そのお姿からは、お豆腐とお客様への愛、そしてプライドが感じられます。
■変わらぬ製法を守るこだわり。古河公方様お墨付きの【焼印】
若木屋さんのお豆腐は、絹ごし豆腐のなめらかさと、木綿豆腐のこってり感が合わさった、とても不思議なお豆腐です。
そのわけは、一丁のお豆腐に、絹ごしの部分と木綿の部分が合わさっているから。
これは古河公方様に献上された当時のレシピ、若木屋さんでしか味わえない秘伝のお豆腐だからなんですね。
ちなみに古河公方様のお城にお豆腐を献上する際には、【焼印】がないと中に入ることは許されなかったそうで、まだ現存しております!
その焼印は心の広い若木屋さんの計らいで古河歴史博物館に、諸々寄贈してしまったとのこと。
いつか歴史博物館で、拝見してみたいものです。
■今日も朝早くからご苦労さまです
同い年のおしどりご夫婦は、定休日以外は、助っ人さんを交えて朝4時00分からお豆腐作りに精を出されています。
仲良しご夫婦のお姿とお豆腐を楽しみにしているファンがたくさんいますから、無理をされないように、お元気に、これからもお豆腐を作り続けていただきたいと願うばかりです。
(取材:福田久美子)
若木屋豆富店
古河市中央町3丁目1-4
℡:0280−22-0340
定休日:土曜日・日曜日
(祭日は通常営業)
営業時間:8:00~18:00(午後6時)